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みやざき風土記
県総合博物館・県文化課・県立図書館で民俗や文化財、郷土史料等専門的業務に長年従事した専門家が、風土や風俗、伝統芸能、地域史など宮崎の文化を分かりやすく紹介します。
 
No.243 諸塚村桂神楽1
前 田 博 仁 ( 宮崎民俗学会会長 )
桂神楽
 桂正八幡神社は南北朝(1336〜92)時代、関東葛城の国から勧請し、桂神楽は「かつらぼうり」と呼ばれ、西臼杵郡や諸塚村、椎葉村、熊本県蘇陽町等広い地域に伝承したと伝える。
 大神楽(夜神楽)は、宮遷宮や神殿改築、お日待ちの願成就といったときに奉納され、通常は神楽三番のみ、11月15日の桂正八幡神社の例祭には神楽三番とおしめの願成就神楽、旧暦の初午祭には神楽三番と稲荷神楽が奉納される。
 桂集落はわずか5戸、住民を中心に伝承してきたが、戦時中奉仕者の中堅が応召、戦死もあり消滅寸前となるが、地区挙げて保存活動に取り組み現在に至る。
 桂神楽は南川・戸下の神楽と趣きを異にする。演目に神下し、とうせい、杉のぼり、岩戸五番の開きがあり、御高屋の正面奥、3段となる高天原に多くの神楽面を神体として並べることなど、高千穂神楽と似る。「みかさ神楽」は女装の舞い手8人が二列となり、その中を牛使いが牛を使って代搔きの仕種をする。牛が退場すると舞手は両手を上下に動かし田植えの所作を演じる。牛や牛使いの登場、畔ぬりなど田植え神楽は、明治22年(1889)以前諸塚村は高千穂町同じ西臼杵郡であったことから、高千穂町黒仁田や尾狩の神楽に影響を与えたという。
 演目は22番、舞い時間が長い演目があり、全てを奉納すると24時間はかかる長丁場の徹宵神楽である。
 通年は桂正八幡に東征、杉のぼり、座はりの3演目(神楽三番という)を奉納し、遷宮とか社殿や鳥居の改築などのとき大神楽を奉納する習わしで、不定期、十年とか十五年間隔で奉納される。平成27年(2015)2月28日の大神楽は公民館新築を祝って奉納された。

演目
一番 宮神楽
 二人舞 烏帽子、白衣、袴。扇子、鈴
 鈴を腰に、閉扇を持って舞い始め、後半は鈴、開扇で左回りして四方割。遷宮や鳥居新築などのとき外で舞う神楽。東征の「上のじ」からの立ち舞と同じ。神前を浄める舞

二番 荒神の言い句
 三人舞 荒神は鉢巻、毛笠、白衣、袴。扇子と杖を採物にする。神主は烏帽子、白衣、狩衣、袴。採物は幣と鈴
 荒神一方、二方は面杖と扇子を持ち、神棚を背に並んでそれぞれ俵に座る。神主が荒神と問答する。宮浄めとして行われる舞。宮神楽とともに舞う。

三番 神おろし
 全員 鉢巻、白衣、袴。扇子、みくま(膳)、白米
 神を神高屋に舞い子全員がお迎えする神事。三人がみくまを持ち、他は扇子を開いて中央に向かって立つ。歌が始まるとみくまを持つ者が素早く全員の扇子に白米を配り、歌の最後の一節、「しらきのヨネをば空にぞ撒き上げて参らせる」で、全員が白米を撒く。これを繰り返す。栂尾神楽で扇子にのせた白米を後ろに放る「神送り」があるが神歌は似る。

四番 東征
 二人舞 烏帽子、白衣、狩衣、袴。扇子、鈴、花(五葉位付いた榊の小枝)
 神楽の基本となる舞、この神楽を修得すると他の舞は容易に修得できるという。大神楽のときは「森の唱教」が入り、その後続けて東征を舞う。

五番 杉のぼり
 二人舞 毛笠、鉢巻、白衣、狩衣、袴。扇子、鈴、花(榊の小枝)
 初めは東征と同じ。桂神楽で最も動きの激しいアクロバット的な舞。寒中でも汗が出る。

六番 御大神
 三人舞 衣装は東征と同じ。鈴、幣、みくま花。
 最初は東征と同じ。御大神の歌を歌う。伊勢天照大神宮のいわれを説く神楽。

七番 大力様
 二人舞 大力は着面、鉢巻、狩衣、白衣、袴。面杖と扇子を持つ。面連れは烏帽子、白衣、狩衣、袴。幣二本、鈴。
 大力様は岩戸五番開きのとき、大神宮様を引き出す神楽であるが、面の一人舞として演じられる。面連れは最初の二方割りが始まると退場する。

八番 地わり
 四人舞 鉢巻、白衣、たすき、袴。太刀、鈴、花。
 大地の神を敬い舞う神楽。左手に花を添えた太刀、右手に鈴を持ち一番舞(御大神の花の手)を舞う。終盤太鼓を中央に出し、四人が四方から太刀を出し、上下させながら立て膝で「(略)東方にゃぐるぐるシャ−カラホ−、太鼓の口もシャ−カラホ−」と歌う。最後に豆腐をのせた膳と神酒が出され、膳を太鼓に置き太刀で豆腐を切る。
 舞手に神酒と豆腐が振る舞われて舞い納める。
(『諸塚村桂神楽解説書』桂神楽保存会)
2024-05-14 更新
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著者プロフィール
前田 博仁(まえだ ひろひと) 
昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、
平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。
現在、宮崎民俗学会会長
(県)みやざきの神楽魅力発信委員会顧問、(県)伝統工芸品専門委員、
高鍋神楽記録作成調査委員会参与、日南市文化財審議会委員

著書
『近世日向の仏師たち』(鉱脈社)
『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社)
『近世日向の修験道』(鉱脈社)、
『比木神楽』(鉱脈社)、
『神楽のこころを舞いつぐ』(鉱脈社)、
他に『鵜戸まいりの道』
『飫肥街道』(鉱脈社)

共著
『宮崎県史 民俗編』
『日之影町史(民俗)』
『北浦町史(民俗)』
『日向市史(民俗)』
『清武町史(民俗)』
『みやざきの神楽ガイド』
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