ミテンの本棚 > みやざき風土記 | ||||||
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![]() 南川と同じ家代地区の神楽。戸下神楽の演目や楽は南川神楽と殆ど同じであることから、戸下の大神楽で加勢の要請があるときは戸下の舞手と一緒に舞うことができる。南川神楽と異なるところは、十年に一度奉納される大神楽(大成就神楽)が行われること。大神楽は例年奉納される演目に山守、泰殿、食(げ)供女(くにゅう)、馬、馬追い、御笠子供、笠取り面、御綱入れ、綱荒神、御綱切りの一〇演目が加わる。舞入れが終わり演目の一番目に山の神守と神主との問答が約一時間に亘って行われる。来訪神の演目は椎葉村嶽之枝尾の「宿借り」や高原町祓川の「門境」に見られる。 戸下神楽の神庭は集会所庭に設え「岩戸開」に効果的な役割を果たす。「岩戸下」の舞始めの時分周囲は真っ暗だが、舞が進む内に空が白みだし、山の稜線がくっきりと見える頃、春日大神が天照を導き出すという演出となっている。 ![]() 一番 ※山守 大神楽で最初に出る演目。笠を被りカズラを肩から背にかけた異様な山守が山から出て神高屋にいる神主と問答を始める。「迷故三界城、虚空十方空、本来無、東西が正(しょう)、南北とは如何に」と神主が問い掛ける。これは「荒神」のときの掛句だが大神楽のときは「山守」で問う。「四季の句」「山の本地」など一時間に亘って問答する。終盤、山守は御神屋に上がり神主に杖を譲って終わる。 ![]() 六人舞。二人、烏帽子、素襖、白袴。四人、烏帽子、白張、白 袴 八百万の神が鎮座する御神屋を浄める舞。洗米を神屋に撒いて浄める。洗米は持ち帰って飯に炊きこんで食べると一年中健康であると言われる。 三番 ※泰殿 神々の恵みで日々の食生活が続けらる事に対する感謝の舞。 ![]() 烏帽子、麻素襖、白袴を着用する二人が太鼓の両脇に座って、御神屋の敷地建物の謂れを唱え、金殿玉楼(金や玉で飾った立派な御殿)に例え神々の御座である御神屋は、清らかな斎場であると褒める。 五番 地割 上 六番 地割 下 道俣神他三神 四人舞。白毛笠、白張、白袴。榊、鈴、扇、太刀 閉扇と鈴で舞い始め、後に開扇となる。地割下では抜身太刀と鈴で舞う。生活のためにいただいた土地を浄める舞。地神、荒神を敬い舞う演目ともいう。この舞は全ての演目の基本となる。 ![]() 二人舞。烏帽子、麻素襖、白袴。 「とうせい」とも言う。木が茂り水が湧き、鳥獣が生活する自然を尊び、その処に在る・ 山神、水神外諸神を崇めて舞う。素面舞と同じように舞うが扇子の代りに花笠を持つ。 参考資料 「諸塚神楽(戸下神楽)解説書」戸下神楽保存会 平成四年二月一日・二日 「御神楽のしおり」戸下神楽保存会 前田博仁著『神楽のこころを舞いつぐ』鉱脈社 |
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2024-01-16 更新 | ||||||
著者プロフィール | ||||||
前田 博仁(まえだ ひろひと) 昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、 平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。 現在、宮崎民俗学会会長 (県)みやざきの神楽魅力発信委員会顧問、(県)伝統工芸品専門委員、 高鍋神楽記録作成調査委員会参与、日南市文化財審議会委員 ![]() 『近世日向の仏師たち』(鉱脈社) 『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社) 『近世日向の修験道』(鉱脈社)、 『比木神楽』(鉱脈社)、 『神楽のこころを舞いつぐ』(鉱脈社)、 他に『鵜戸まいりの道』 『飫肥街道』(鉱脈社) 共著 『宮崎県史 民俗編』 『日之影町史(民俗)』 『北浦町史(民俗)』 『日向市史(民俗)』 『清武町史(民俗)』 『みやざきの神楽ガイド』 |
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