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みやざき風土記
県総合博物館・県文化課・県立図書館で民俗や文化財、郷土史料等専門的業務に長年従事した専門家が、風土や風俗、伝統芸能、地域史など宮崎の文化を分かりやすく紹介します。
 
No.236 諸塚村南川神楽1
前 田 博 仁 ( 宮崎民俗学会会長 )
 諸塚村は宮崎県西北部、九州山地を形成する山村。延岡藩。初め西臼杵郡、昭和24年(1949)から東臼杵郡となる。平地は殆どなく山腹の緩やかな傾斜地に耕作地や集落が散在する。諸塚村は高千穂町や日之影町、美郷町、椎葉村と接し、村内神楽は隣接するこれらの地域の神楽と少なからず影響を与えあっている。
諸塚の神楽
 諸塚の神楽由来は明確でないが、今は絶えた同村七ツ山の「日が暮神楽」資料を神楽研究家渡辺伸夫氏が世に出され、資料には天文15年(1546)の祭文集、同16年の唱教ほかが含まれ、「日が暮神楽」は室町末期には既にあったことを証された。
 神楽は南川・戸下神楽の系統、桂神楽系統、西郷村山三ヶ神楽の系統に分けられる。南川・戸下系神楽は家代(えしろ)神楽と黒葛原(つづらばる)神楽で村の南東部に分布し、桂系神楽は八重之平神楽、塚原神楽、川の口神楽、七ツ山本村神楽、小原井神楽で、村の中央七ツ山川流域に分布する。村の中心地塚原から椎葉へ向かうと松の平、ここは三方を美郷町西郷の山三ヶに接し、松の平神楽は山三ヶ神楽に似るという。
 徹宵神楽は南川神楽、戸下神楽、桂神楽で他は5、6番の演目を伝える。
神楽の特徴
 高千穂や米良などの神楽は、江戸末から明治初期にかけて唯一神道の影響を受け、神楽から仏教色を一掃したが、諸塚の神楽はその影響が弱く神仏混淆の問答などが残っている。また南川・戸下神楽は岩戸を開く神が春日大神であること、長い唱教や問答が省略されることなく唱えられること、神楽宿に接して張り出した舞処(神高屋)を設置することである。これは美郷町島戸神楽、椎葉村松尾栗の尾神楽、延岡市北方上鹿川神楽などに広がっている。
 多くの夜神楽では神楽を中断して氏子や観客に飲食を提供するが、諸塚では神楽宿に近い民家を脇宿とし、そこでは酒食を振る舞ったり仮眠したりする。脇宿制を有する神楽は県内どこにも存在しない。
 他には、白衣・白袴の舞手が荒神などを御神屋に導く「連れ舞」があること。複数人が舞う演目では先地というリーダーがいて、隊形をかえる直前「ツルルッ」と短く低く発声することなどである。※「ツルルッ」は山鳥の鳴き声「ホロロ」を真似たもので「ヨーイ」の意。
南川神楽
 元禄の頃(1688〜1704)南川小払の東蔵寺住職中厳祖的が神楽を創作して地域に広げたと言い小払が南川神楽発祥地としている。
文化5年(1808)、文政10年(1827)の墨書がある舞衣、天保5年(1834) の神楽面箱を所有する。
 神楽は小払・中尾・梅の木・松原・佐礼の五集落を順送りで奉納され、かつては民家の軒先に作り出しの舞処(御神屋・神高屋といい2間×2.5間)を設けたが、現在は集落の集会所に接して御神屋を設ける。神楽当番でない集落は御神屋準備や賄いなどを担当する。
 鎮守社からの舞入れは棒つき、おしおい、御神灯、抜太刀、張弓、幣差し、鬼神、天神、八幡などが続き、総勢40数人が御神屋に舞い込み、鬼神・天神・荒神・春日・八幡・稲荷が舞い納める。
 午後3時半頃1番目「拝み」が始まり、続いて「神高屋(みこや)誉め」と37番が奉納される。真夜中頃、神高屋正面の高天原前に座った三荒神に対し神主が「迷故三界上、極十方空、ほんだい無東西が正王(しょうおう)、南北とは如何に」などと問いかけ、各荒神がそれに答える。後半からは「長句」となり神主、三荒神とも長い文言をかけ合い、最も神楽が盛り上がる場面となる。
 翌朝演じられる伊勢、岩戸上(岩戸捜し)、柴取、岩戸下(舞開)、浮輪取(鈿女)の岩戸開関連演目が披露されるのは高千穂神楽に似るが、岩戸の所在を探す神、岩戸を開いて天照大神を迎える神が春日大神で手力男でないところが大きく異なる。
2023-10-11 更新
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著者プロフィール
前田 博仁(まえだ ひろひと) 
昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、
平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。
現在、宮崎民俗学会会長
(県)みやざきの神楽魅力発信委員会顧問、(県)伝統工芸品専門委員、
高鍋神楽記録作成調査委員会参与、日南市文化財審議会委員

著書
『近世日向の仏師たち』(鉱脈社)
『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社)
『近世日向の修験道』(鉱脈社)、
『比木神楽』(鉱脈社)、
『神楽のこころを舞いつぐ』(鉱脈社)、
他に『鵜戸まいりの道』
『飫肥街道』(鉱脈社)

共著
『宮崎県史 民俗編』
『日之影町史(民俗)』
『北浦町史(民俗)』
『日向市史(民俗)』
『清武町史(民俗)』
『みやざきの神楽ガイド』
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