ミテンの本棚 > みやざき風土記 | ||||||
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![]() 日之影町の神楽は演目、舞い方などから深角神楽、岩井川神楽、岩戸神楽、四ヶ惣神楽に大別される。 深角神楽は深角、一の水、波瀬、宮水、松の内、大菅などの集落に伝承、古園、大人、糸原、興地、星山などの神楽を岩井川神楽といい、椎谷、楠原、竹の原、中村、平清水、上下顔、鹿川、戸の口などの地区の神楽は岩戸神楽、八戸と阿下の神楽を四ヶ惣神楽という。これら四系統の神楽を総称して日之影神楽という。 その中で深角系の大菅神楽、岩井川系の大人神楽、岩戸系の鹿川神楽が夜神楽を維持したが、過疎により近年大菅と鹿川は夜神楽を維持できなくなった。それ以外の神楽は一二、三番を奉納する半夜神楽、数番を奉納する日神楽である。 演目や衣装、こめかみ部で垂らす「みずら鉢巻」などは高千穂神楽と同じ。柴引、伊勢、手力、鈿女、戸取、舞開を重要演目に位置付けること、岩戸系の鹿川神楽では蛇切りが行われるなど、高千穂神楽と多くの共通性を持つ。ただし、二メートル程のオンノメカズラ(ノブドウ)を両側から支えアーチ状にした中を、舞手や神楽関係者が祭具や食器を携えて潜る「すがもり儀礼」を大菅神楽や大人神楽などで行う点は異なる。 ![]() 大人神楽演目は高千穂神楽と似ており、岩戸開に関する六演目を重要とする。舞開は子どもに天照役をさせ手力男が天照の両手をとり、膝でいざりながら導きだす。高千穂神楽では厨子内に天照像や絵像を祀り、手力男が厨子の扉を開けて天照を迎えるという演出が多いなか、日之影町に近い高千穂町の黒仁田神楽や尾狩神楽では子どもの天照を引き出す。他には白布尺物を両手で振りながら神迎えの先頭に立つのも黒仁田・尾狩に影響を与えている。 大人神楽はオンノメカズラによる浄めから始まり、舞い手や氏子がカズラ潜りをする。これを「すがもり」と言い、この浄めを済ませて氏子たちは鎮守岩井川神社に神迎えに出立する。神社で神事、拝殿で「迎え神楽」を奉納し、白布尺物で浄めたあと神渡しを行い道神楽で神楽宿に向かうが、神官の大幣を先頭に猿田彦、天神、土地神、舞手、氏子など総勢五〇〜六〇人が急傾斜の長い石段を舞いながら下る様は、天上の神々が降臨する様子を演出する。 特徴的演目は「天神様の舞」「太子様の舞」で土地神が出座、太子様は諸塚太白山に由来する神と言われ、かつて諸塚が高千穂との交流があったことを証する。 大菅・鹿川両神楽も概ね高千穂神楽であるがどちらも「彦舞」はない。 |
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2022-06-01 更新 | ||||||
著者プロフィール | ||||||
前田 博仁(まえだ ひろひと) 昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、 平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。 現在、宮崎民俗学会会長 (県)みやざきの神楽魅力発信委員会副委員長、(県)伝統工芸品専門委員、 高鍋神楽記録作成調査委員(参与)、日南市文化財審議会委員 ![]() 『近世日向の仏師たち』(鉱脈社) 『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社) 『近世日向の修験道』(鉱脈社)、 『比木神楽』(鉱脈社)、 他に『鵜戸まいりの道』 『飫肥街道』(鉱脈社) 【共著】 『宮崎県史 民俗編』 『日之影町史』 『北浦町史』 『日向市史』 『みやざきの神楽ガイド』 |
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