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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.161 自分の好きなことを見つけること
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 先月のコラムで、「自分の好きなことを見つけるのは案外難しいことかもしれない」と書きましたので、今月は、私がいかにして好きなことを見つけたのかについて、自身の人生を振り返りながら書いていきたいと思います。

 1956年、私は宮崎県宮崎市に生まれました。400坪ほどの土地にお花畑やプールがあり、それを囲むようにして家が建っている。私が生まれたのはそんな家。祖父母、両親、叔父叔母を含め、家族は10人以上。その他にも住み込みの従業員や下宿人を合わせると、30人以上の大所帯でした。犬や猫、ウサギなどの動物もいっしょに暮らし、考えてみると、いくつもの子どものお話が書けそうな子ども時代の環境なのでした。
 本好きの叔父や叔母のおかげで、家には溢れるほどの本があり、私はいつも活字に囲まれて生活していました。2歳になる頃には文字も読め、私の本好きの原点はまさしく、幼年時代に暮らしたこの家にあったのでした。
 小学校時代には図書室にある本は端っこから順番に読んでいき、読書感想文もたびたび賞をもらったりしました。将来は童話作家になりたい、それが私の夢でした。

 1980年、私は小学校の教師になりました。子ども達に囲まれて、本当に充実した楽しい毎日でした。私は、時々、子どもたちを連れて教室を抜け出したことがありました。霧島山の麓の小学校に勤務していましたから、自然が豊かで、子どもたちものびのびと育っていました。授業中に、ふと、教室から外を見ると、運動場を牛が走って横切っていたことがあり、その数分後に、その牛を追いかけて農家の方が走ってきた、そんな光景もありました。

 毎朝、学校に着くと、入り口のところで子どもたちが待っています。そうして、教材がいっぱい詰まった私の大きなカバンを教室まで運んでくれます。職員室に立ち寄る暇さえ惜しんで教室へ行きます。授業が終わって休み時間になると、私の机のまわりに子どもたちが集まってきます。昼休みにはいっしょに遊びます。時にはトイレまでついて来ます。

 そんなふうに、四六時中子どもたちといっしょの毎日が楽しくて、楽しくて、仕方がありませんでした。家に帰ると、授業の準備や、子どもたちの日記と宿題のチェック。そのまま、机の上で朝まで転寝をしてしまったこともしょっちゅうでした。

 許可をもらうことなく学校を抜け出して野外授業なんて、現在の学校教育では考えられませんから、今考えると、怖いもの知らずの新米教師でした。そんな新米教師の私がしでかした突拍子もない出来事も、他の先輩の先生方が、私の知らないところでしりぬぐいをしてくださっていたのだと思います。いつのまにか、クラスの花壇にたくさんの花が植えてあり、お隣のクラスの先生が植えてくださっていたのだとわかって、子どもたちひとりひとりに「ありがとうございます」の言葉を届けさせたりしたこともありました。こうして振り返ってみると、本当に、なにからなにまで子どもたちと、先輩の先生方に恵まれた教師時代でした。

 寝ても覚めても子ども達のことばかり考え、自宅に帰ってからも、教材研究をしながら、机の上で、そのまま転寝をして朝まで。そんな日々が続いて、私は腎臓を患い、医師から「人工透析の一歩手前まで来ています。このまま無理を続けると子どももできなくなりますよ。」と、いわれました。
 「倒れてから無理をしていたことに気づく」という性格のせいで、結局は体を壊してしまい、教壇を去ることになりました。病気を治すための療養生活が始まったのです。子ども達との楽しかった日々が、一転して、 私は、死んだようにして生きることになったのでした。

 楽しかった教員生活から一転、けだるい体を持て余し、夫の帰りを待つだけの日々。私は生きる屍のようでした。そんな私が、どうやって生き返ったのか? それは、ほんのささいなことがきっかけでした。
 ある日、私は、大家さんの家に家賃を持っていった折、応接間のテーブルの上に置かれた新聞の記事に目を留めます。それは、「小学館」の童話作品募集の記事でした。おそらくそのときの私は、心の中に、何か悶々とした思いを抱えていたのでしょう。その、心の中の思いをどうにかして吐き出したい、その方法を模索していたのかもしれません。

 その記事をいただいて家に戻り、すぐに原稿用紙に向かいました。今思い出してみても、そのときの私は、文章を作ることに、四苦八苦したという記憶がありません。おそらく、たまったものを吐き出すために、書くという行為がまさに最適だったのだと思います。 そうしてできあがった作品は、何千という応募作品の中で入選を果たしました。
 教師をやめて死んだように生きていた私が生き返ったことを夫は喜び、「きみには書く才能があるんだよ」そういって励ましてくれました。それからの私は、新聞で童話の募集記事を見つけては作品を応募し、書いた作品は、何度か賞をいただきました。いつかは「童話作家」として花開く日を夢見て、私はひたすら書き続けてきました。

 それから40年。いつしか、「書くこと」がまるで「呼吸をすること」と同じくらい生きていく上で必然的なことであることに気づきました。病気治療のために入院して、「書く」という行為を奪われた時、私は、「飛ぶ」という行為を奪われた鳥と同じような心境に襲われたからでした。
「天職とは、その仕事によって金銭を得ることができなかったとしても、その仕事を続けたいと思うか?」そうたずねられたときに、即答で「イエス」と応えられる職業のことです。40年間書き続けて、私はやっと、「書くことは私の天職である」そういうことができるようになりました。40年という月日を重ねることが、それだけで私にそういわせるだけの自信を与えてくれたのです。
(来月に続く)
2021-07-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)
『四季通り路地裏古書店』(2019みやざきの文学「第22回みやざき文学賞」作品集)




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