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10月のコラムで英語学習の成果について書きましたが、中学から大学まで文法中心の英語学習で、英会話に関して私はまったく勉強していませんでしたから、1985年にニューヨークで生活することになって、初めて英語を話す必要性に直面しました。コロンビア大学の外国人向けの英会話クラスに申し込み、クラス分けテストの結果、5クラス(各クラス20人)のうちの最上級クラスに配属されました。このクラスはほとんどがヨーロッパ人で、みんな英語を普通に話していました。クラス分けテストは文法と聞き取りで、英会話はありませんでしたので、私は95点で2番目の成績、1番は100点満点のインド人の俳優志望の方で(順位ごとに点数と名前が発表されるのです)、英語はペラペラ。一度だけクラスに参加しただけでしたから、このクラスでは私が一番クラス分けテストの成績がいいことになります。英語は話せませんが、文法の授業のときだけは他の生徒が答えられない問題でも正確に答えることができたので、以前にも書いたように、他のクラスメイトは、私のことを、英語が話せるくせに、自分の意見をいわない人だと思ったようでした。 そして事件が起きます。ある日、授業が終わると、10人ほどのクラスメイトたちに取り囲まれ、「どうして英語が話せるくせに、自分の意見をいわないのか」と問いただされました。私はそんな経験は初めてでしたからとてもびっくりしました。「文法は何年間か勉強してきたので理解できますが、英会話の勉強をまったくしてこなかったので、英語がうまく話せません。意見をいいたくても、うまくいえないのです」 と、つたない英語で説明しました。すると、クラスメイトたちの表情が、とたんにやさしい表情になり、「英語をうまく話せなくても大丈夫。私たちはちゃんと聞いてあげるから」と、いってくれ、それ以降は、意見交換の場になると、私に話す機会を与えてくれ、私の英語での発言を辛抱強く聞いてくれました。おかげで、人前で英語を話すことに次第に慣れてきて、一歩前に出て自分の意見をいうことができるようになりました。 コロンビア大学で月曜から金曜の週に5回、各2時間の英会話クラスのほかに、ミスパーカーとの英語での会話、そして、YMCAでの英会話のクラスにも参加していました。YMCAでの授業が終わって教師の方に、「私は英語がうまく話せません。どうしたらうまく話せるようになるでしょうか?」と聞いたことがありました。すると、「あなたの英語はとてもきちんとしたきれいな英語です。流暢に話しているからといって、その英語がちゃんとした英語かどうかは別です。あなたのように、ゆっくりでも正確な英語を話すことの方が大切です。自信を持って話してくださいね」といわれました。こうして、ニューヨークでの英語学習の経験は、英会話の上達以上にさまざまな収穫があり、1年間のアメリカ滞在を実り多いものにしてくれました。私が受けてきた英語教育は文法中心で、英会話の授業はまったくありませんでしたが、最近の学校現場では、ネイティブの教師のもとで英会話の授業が取り入れられるようになりました。しかし、こうして今、アプリで英会話の勉強をしながら思うことは、きちんと文法を勉強してきたことがいかに今役立っているかということです。生まれたときから英語を話す環境にいるか、もしくは身近に英語を話す人がいる場合は別として、外国語はきちんと文法を学習することが大切だと私は思っています。そして、そのためにはまず、母国語である日本語をきちんと勉強することが必要なことだと思うのです。 筋力トレーニング(以下、筋トレと略します)は文字通り筋肉のトレーニングですが、体の各部位の筋肉を増強するためにその部位にあった運動を繰り返すことによって筋肉が強化されます。そのために筋肉に負荷をかけるのですが、始めから重い負荷をかけることはできません。筋肉が少しずつ肥大するたびにかける負荷も増えていきます。そうやって少しずつ筋肉を肥大させていき、次第に重い負荷でも耐えられるようになるのです。さらに、筋トレはジムでのトレーニングだけでなく、筋肉に関する知識も必要なのです。そうして毎日コツコツと少しずつ積み重ねていくことによって、確実に筋肉は増えていくのです。やせたいといっている女性に筋トレを勧めると、「筋肉が増えると、もっと太って見えるから」などといって筋トレをしないための無知な言い訳をする人がいますが、筋肉はそんなに簡単には増えません。何かを始める前からやらない言い訳をする人は、まず目的を達成することはありません。つまり、何かを始めるとき、すぐにその重要性を頭で理解して取り掛かれる人と、しない言い訳をして取り掛からない人では、その後の結果が明白なのです。 このように、英語の学習にしても筋トレにしても、自分にとって必要なことだと理解したら、それをコツコツと積み重ねること。大変なことでも、少しずつ積み重ねていけばその成果は膨大なものになります。どんなに科学が進歩し、それによって便利な道具が増えても、結局はこうしてコツコツと積み重ねていける人が大きな成果を得ることができるのだと思います。ですから、子どもたちには携帯電話やタブレットなどの便利な道具を使いこなせることを教えること以上に、コツコツと毎日努力をすることを教えることが大切なのだと思うのです。地道な作業をこなせる子どもと、そうでない子どもでは、最終的にはコツコツと努力を積み重ねることのできる子どもが素晴らしい成果を得ることができるのです。それは机の上での勉強だけに限りません。コツコツと努力をする。そんな努力に無駄なものは何ひとつないのです。コツコツと努力を積み重ねることは簡単なことではありませんが、好きなことならそれは可能なはずです。これまでのコラムで何度も書いているように、好きなことを見つけて、それをコツコツと続けること。そうしてその努力の成果を積み重ねていくこと。その先にこそ、自分の実現したい素晴らしい未来が待っているのです。 |
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| 2025-12-01 更新 | ||||||
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2007
| 12
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| 著者プロフィール | ||||||
| 原田 京子(はらだ きょうこ) 1956年宮崎県生まれ 大学院修士課程修了(教育心理学専攻) 【著書】 児童文学 『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店) 『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店) 『アイコはとびたつ』(共著・国土社) 『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート) エッセー 『晴れた日には』(共著・日本文学館) 小説 『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社) 『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社) 『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集) 『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集) 『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集) 『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集) 『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集) 『四季通り路地裏古書店』(2019みやざきの文学「第22回みやざき文学賞」作品集) ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() *********************** ※ブログのアドレス(※モバイルでは正しく表示されない場合がございます。 ) 「彩木瑠璃の癒しの庭」 http://ameblo.jp/akylulu/ 「彩木瑠璃の心の筋トレ」 http://blog.livedoor.jp/saikiruri/ 「巴里アパルトマン生活を夢見て」 http://blog.goo.ne.jp/saikiruri ----------------------------------------------------------------------- ![]() 『プラトニック・ラブレター』の単行本が好評で、装いも新たに幻冬舎から電子書籍化されました。 Amazonの電子書籍はこちら(外部サイトへ) 紀伊國屋の電子書籍はこちら(外部サイトへ) |
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そして事件が起きます。ある日、授業が終わると、10人ほどのクラスメイトたちに取り囲まれ、「どうして英語が話せるくせに、自分の意見をいわないのか」と問いただされました。私はそんな経験は初めてでしたからとてもびっくりしました。
コロンビア大学で月曜から金曜の週に5回、各2時間の英会話クラスのほかに、ミスパーカーとの英語での会話、そして、YMCAでの英会話のクラスにも参加していました。YMCAでの授業が終わって教師の方に、「私は英語がうまく話せません。どうしたらうまく話せるようになるでしょうか?」と聞いたことがありました。すると、「あなたの英語はとてもきちんとしたきれいな英語です。流暢に話しているからといって、その英語がちゃんとした英語かどうかは別です。あなたのように、ゆっくりでも正確な英語を話すことの方が大切です。自信を持って話してくださいね」といわれました。こうして、ニューヨークでの英語学習の経験は、英会話の上達以上にさまざまな収穫があり、1年間のアメリカ滞在を実り多いものにしてくれました。
筋力トレーニング(以下、筋トレと略します)は文字通り筋肉のトレーニングですが、体の各部位の筋肉を増強するためにその部位にあった運動を繰り返すことによって筋肉が強化されます。そのために筋肉に負荷をかけるのですが、始めから重い負荷をかけることはできません。筋肉が少しずつ肥大するたびにかける負荷も増えていきます。そうやって少しずつ筋肉を肥大させていき、次第に重い負荷でも耐えられるようになるのです。さらに、筋トレはジムでのトレーニングだけでなく、筋肉に関する知識も必要なのです。そうして毎日コツコツと少しずつ積み重ねていくことによって、確実に筋肉は増えていくのです。
このように、英語の学習にしても筋トレにしても、自分にとって必要なことだと理解したら、それをコツコツと積み重ねること。大変なことでも、少しずつ積み重ねていけばその成果は膨大なものになります。どんなに科学が進歩し、それによって便利な道具が増えても、結局はこうしてコツコツと積み重ねていける人が大きな成果を得ることができるのだと思います。ですから、子どもたちには携帯電話やタブレットなどの便利な道具を使いこなせることを教えること以上に、コツコツと毎日努力をすることを教えることが大切なのだと思うのです。地道な作業をこなせる子どもと、そうでない子どもでは、最終的にはコツコツと努力を積み重ねることのできる子どもが素晴らしい成果を得ることができるのです。それは机の上での勉強だけに限りません。コツコツと努力をする。そんな努力に無駄なものは何ひとつないのです。








