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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.213 人格はいかにして作られるのか?
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 私は最近、「人格はいかにして作られるのか?」ということについて考えています。
 以前、自分のルーツについて書いたことがありました。作品作りのために欠かせないと思ったので、専門機関に有料で分析してもらったのです。
 ルーツは「ネアンデルタール人」まで遡りました。そして、さまざまなことがわかり、これまで疑問に思っていたことがはっきりして、すっきりと前に進むことができたのでした。
 自分の性格を振り返ってみると、いつも何かに挑戦し、何かをやり遂げたいと思っていて、前回のコラム
にも書いたように、「何かを始めると、必ず最後までやり遂げる」ので、こんな自分の人格は、いったいどのようにして形成されていったのだろうかと考えることが多くなりました。
 以前、ブライアン・ワイス博士が来日された折に集団の「前世療法」を受け、その後、新たに時間をかけて、前世療法の資格を持つ医師のもとで、私の前世をさぐってみました。おもしろいことに、どちらの結果も同じ。私の前世は、世界中を旅する外国人の「修行僧」でした。
 結果を知って「なるほど」と思いました。旅がすきなのも、いつも何かを追い求めているのも、人ごみが嫌いなのも、ひとりがすきなのも、目標を設定してそれを達成するのがすきなのも、そのほかさまざまなことが前世の自分から来ているのだということを理解できました。いつも何かに挑戦し、時々そんな自分に疲れることがあり、どうしてこんな性格なんだろうと思っていましたが、自分の前世がわかることで、すべて納得がいったのでした。
 私がひとりで行動することのメリットが多いことに気づけたのは、ニューヨークでの1年間の生活のおかげだと思っています。ニューヨーク、マンハッタンで、私は自分の人生に大きな影響を与えることになった人との出会いがあったのです。これまでもたびたびコラムに登場しますので、コラムを読んでくださっている方はご存知だと思いますが、ミス・パーカーとの出会いです。彼女の存在なくして、現在の私はないと思っています(ミス・パーカーについて知りたい方はコラムを振り返ってください)。
 ひとりで行動することが、いかに時間を有意義に使えるか、誰にも煩わされずに自分の時間を充実させられるかを実感し、ミス・パーカーのおかげで私はマンハッタンでの生活を200%実りあるものにすることができたのでした。
 つまり、前世の私はひとり旅をしている修行僧で、もともとひとりで行動をする素質があったこと、そして、現世においてそのひとり行動のメリットを実感させてくれる出会いがあったこと、この二つによって、私は自分の歩むべき道を歩いていく的確な生き方を見い出すことができたわけです。言い換えれば、「もともともっていた前世からの人格に気づくこと」と「その人格に影響を与える人との出会い」がさらなる人格の形成に大切であるといえるでしょう。
 こんなふうに考えると、人間は生まれながらにして前世からの特性をDNAによって引継ぎ、無意識のうちにそれを何らかの形で実現しているのだということです。つまり、父親と母親の遺伝子を引き継いでいても、まったく違う人格なのです。そう考えると、親が子どもの未来を見据えて子どもをコントロールすることはできないということでしょう。いいかえれば、子どもが持って生まれた特性が何かを理解し、子どもが何に興味を抱くのかを知り、子どもがやりたいと思っていることを思う存分できるように手助けができたら、子どもは自分の望むべき未来へ向けて歩き出すことができるということです。
 それでは、子どもの特性と興味の対象を理解し、持って生まれた可能性を、子どもが望むべき形で実現させてあげるには、親として何をしたらいいのでしょうか?
 私自身、もう子育てを終えているので、少し安心している自分がいます。なぜなら、もし今、子育て真っ最中だとしたら、不安でしかたがないだろうと思うからです。不安になる材料があまりにもたくさんありすぎるのです。その不安材料のひとつがスマホです。現代社会はスマホに支配されていて、ほとんどの人がスマホなしでは生活できないでしょう。私は、スマホは「必要悪」であり、まさに「両刃の剣」だと思っています。便利さと引き換えに、危険にさらされているからです。スマホは有り余る情報を提供し、また、「生成AI」の出現によって、本物と見間違えるフェイク画像や偽情報などがあふれ、何が本当で何が嘘なのかわからない恐ろしい世界が展開されています。いっそのことスマホなど持っていないほうが危険な目にあう確率は低いような気がするのです。
 さらに、SNSによって真偽織り交ぜたたくさんの情報が拡散し、その情報を短絡的に取り入れることによって、精神的、肉体的な被害が後を絶ちません。韓国では「頭の良くなる薬」と称してADHD患者に処方する薬を子どもたちが飲まされ、また、日本でも「やせる薬」と称して、糖尿病患者に処方する薬を、患者以外の人がやせるために飲むという現象が起きています。それぞれの薬は実際には頭が良くなることや、やせることが実証されているわけではなく、逆に多用することによって副作用が起きることが報告されているのです。
 このように、身近にたくさんの危険が蔓延している環境の中で子育てをしていくのは大変なことだろうと思います。ですから、まずは親自身がスマホに支配されないことが必要でしょう。何をするにもまずはスマホ、という生活に陥っていないか、自分自身を振り返り、たくさんの情報に振り回されることなく、何が正しいのか、自分自身の頭で考え、行動していくことが大切だと思います。
2025-10-31 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)
『四季通り路地裏古書店』(2019みやざきの文学「第22回みやざき文学賞」作品集)




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