ミテンの本棚 > グルメの恵み! | ||||||
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私が薬局内に台所を作ったのは、今から27年前のこと。 若かったせいもあり、保健所の方にどうして薬剤師が「食」なのかと怒られ、薬局内に台所など前例がないと困らせ、それを押し切ってのことでした。 しかし今は、薬食同源、医食同源という言葉は常識的になり、食べ方の重要性も知られるようになりましたし、最近は食育という言葉もよく耳にします。 私も農政局の食育推進委員等にかかわり、改めて「食」をみつめなおしてみますと、どうやら食べるという事には大きく分けてニ通りのとらえ方がある様に思えます。 ひとつは、空腹や好奇心を満たす楽しみを中心とした食、もうひとつは、ヒトという動物として、その食性に従って他の自然界の動物がそれぞれの主食を食むように、ひたすら生きるための「食」です。 このニ通りの「食」の摂り方のバランスのくずれをみなおすことが食育のひとつのテーマの様に思います。自分の体験を少し書きますと、私の薬局には、様々な病院の方が相談に来られます。その時、私はまず、どのような食習慣の方かを調べます。そして、食のあり方を変えていただく事から仕事を始めます。 漢方的食養生の基本的考えは、陰陽・気血水・五味調和です。 何千年の昔から、個々の人の体と心と食の関係を適格にとらえる漢方の知恵には学ぶことが多いです。それと、世界の国々の気候風土の違いの中でうまれた食の必然性も考える必要があります。 例えば、高冷地や砂漠のような所に住む人々は、乾燥から身を守る為に、チーズやバター、ミルク等の乳製品は必需品です。寒い国の人は、油を多くとって寒さから身を守ります。 しかし、高温多湿の国に住む私達にとり、乳製品や油はどうでしょう。嗜好品ではあっても必需品ではないはずです。私達の先祖は、かつて照葉樹の森の中に住んでいました。そこでうまれた食文化は、味噌・しょうゆ・納豆・こうじ等の発酵品・雑穀・豆・梅干・茶等です。これは、私達の食の情報の大きなヒントになります。 戦後、欧米型の食に走りすぎた私達。足元の大切な伝統文化を無視し、豊かさを物やお金ではかり、多くの大切なものを失ってきたように思います。人間優位の考えは、自然を破壊しました。豊かな海を育てるといわれる照葉樹の山も国土のわずか1%しか残っていません。食育の入口は、他の命の共存を考える環境問題であり、真摯に自然とむかい合うことだと思います。 グローバリゼーションの時代、知らなかったたくさんの事を気づかせてくれることもあります。しかし、雑多な情報におどらされることなく、しっかりと自分たちの足元の根をはること、ゆらぐことのない文化を次に伝えていく必要があると思います。 今、薬局内のあの台所は、「薬膳料理オーガニックごうだ」という食の体験実践場として食の情報を発信する場となりました。私はそこで、訪れてこられるお客様に食事の大切さを伝える薬剤師の仕事に取り組んでいます。 ~コラム執筆者 郷田 美紀子~ 郷田薬局 管理薬剤師 薬膳茶房「オーガニックごうだ」オーナー 九州農政局食育フォーラム委員 農政局食と農の応援団 綾の自然と文化を考える会 代表 綾の森を世界遺産にする会副代表 ~薬膳茶房「オーガニックごうだ」~ 宮崎県東諸県郡綾町南俣303-4 TEL:0985-77-0045 FAX:0985-77-2238 ※火曜日がお休み 11:30~18:00までですが、食材がなくなり次第終了となります。 その日その日の食材に限りがございますのでご予約をいただくと 大変助かります。 |
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2007-11-02 更新 | ||||||
2008
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